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ウッと背伸びをしてみると、情けないことこの上ないな。両膝がすっかり笑い出してい る。 まあ、なにしろ同じ姿勢で立ちっぱなしというのは、日頃の運動不足を顕著に測定して くれるのだ。もはや若者と呼ばれることのない僕ら。苦笑まじりにホッと息をつく。月 はまだ顔をのぞかせずにいる。6月の太陽がその存在感を誇示しつづけている。 お互いに顔を突き合わせて言葉を交わす。二言、三言。会話が続かない。口数が少ない のは、もちろん疲れのせいなんかじゃない。とんでもない。目が合えば、ただただ微笑 みあうばかり。喜びを分かち合う時間が過ぎていく。 すり鉢状の観覧席。底の方から入口で別れた人達が駆けてくる。見慣れた顔の少年と、 まだ見ぬ顔の少女たちを連れ立って。【ムーンライダーズ聞いてる限りは、誰もがボー イで誰もがガール】って、いつかどこかで聞いた気がする。だから、"少年"に"少女"。 そういうわけだ。これ、誰の言葉だっけ? そういえば【懸命なる○○○諸君】というのは慶一さんの得意の弁だが、はたして今日 も聞かせてもらえるのかな? さて、またしても焦がれていたガールズに出会えるなんて、今日という日はいったいど うかしてるんじゃないか?NIFTY-ServeのFBEATというところで、ムーンライダーズのア ルバム・クロス・レヴューなどという恐れを知らない企み(笑)を始めた時、それはもう お世話になったガールたち。実際にこうしてまみえるのは初めてだ。一言お礼を言おう としたのだが、その一人には逃げられてしまった。そんなにヤバイ顔をしていたのだろ うか、僕(苦笑)。いや、またいつかどこかで会えるだろう。今日、この時、出会うこと ができたんだから。その際にはもうしっかりとお礼をさせてもらうぞっ!(といいつつ、 もう一人のガールにもまともなお礼を言えていないのだ。ああ、この歳になってシャイ といったって、もはや可愛げも無けりゃ救いようもない。情けないったらありゃしない ぜ) ところで僕の事務所の机の上には一枚の写真が飾ってある。三人のメモリアル・ショッ ト。K氏を中央に、男性と女性が肩を並べたモノクロームの光景なんだけれど、そのう ちの一人、左側の男性が、今、目の前で笑っているという事態。なんてことだ。今日と いう日は本当にどうかしてるよ。ヴィデオの中でギターを弾いてた彼がここにいるなん て。 はじめまして、黒瀬さん。次の正月には必ずライヴを拝見しに伺います。17年目の架 空楽団。この永遠の少年もまた、続いていくことの重さを躯で感じている一人なんだ。 ちなみにK氏というのは、さっきまでステージの上で唄っていた人(笑) 「あ、そろそろ始まりそうですね」 あわてて階段を駆けおりていくボーイズ&ガールズ。お別れの言葉をかける間もなく、 控え目な声がステージより届く。 |