架空楽団ライブレポート


 次はまたまたゲスト・コーナー。サエキけんぞうさん!!

 サエキさん「私も数多くのヴォーカリストを観て参りましたが、山田さんのような腰の低いヴォーカリストは新しさを感じますね(場内爆笑)。僕もムーンライダーズに詩をたくさん書いていますけれど、なかなか歌えるチャンスが少ない。そうするとこれは便利という考え方もありますね(笑)。だいたいこういうバンドのライヴに本人達が来ること自体が幸福なのかどうかという問題もありますけど(場内大爆笑)。」

 いや、それは間違いなく幸福でしょう!! 架空楽団にとっても、ファンにとっても。

 曲のほうは、ソリトンで放映されたライダーズ・スタジオ・ライヴ以来になる、サエキさんヴォーカルの「青空のマリー」。だいたいサエキさんの歌声を聴いたこと自体久しぶりである。ひょっとしたらこれまたソリトンのパール兄弟・スタジオ・ライヴ以来だろうか? その後にトッド・ラングレン・トリビュートがあったかな? なんにせよ、早くパール兄弟をなんとかしておくれよ、サエキさん。なんとかパルオさん口説いてさぁ・・・。ソリトンのライヴでは良明さんとのデュエットだった「青空のマリー」だったが、今回は当然フル・コーラスで。架空のアレンジはライダーズのライヴ・ヴァージョンを細部まで再現した完コピ・ヴァージョンでこれまたお見事!!

石原さん 「続いてのゲスト・コーナーは鈴木博文さん!! ツアーも終わられて一言。」
博文さん 「えっ? 今日が最後でしょ? 私はまだ終わってません(場内爆笑)。このベースはなんですか?」
石原さん 「これは今年買ったんですけど・・・」
博文さん 「去年より全然上手くなってますね。なーんてね(場内爆笑)。オレもやっと人に言えるような域になったかな(笑)。」

 なんてベーシスト対談があってワオーンという動物の鳴き声のSEが・・・これってもしかして・・・そう、「ウルフはウルフ」だ!! これまた厄介な曲を・・・ちょっと難解なリズム・パターンながらバッチリキメてくれた片島博文さんとのダブル・博文による、ほとんどレコードを忠実再現という名演!! こうやって改めて聴くと良い曲だって改めて感動してしまうのであった。

 更に続くゲスト・コーナー、続いては岡田徹さん!! そして更になんと岩井俊二監督も・・・!!
「これで3,000円は安いよ」と黒瀬さん。

石原さん 「岩井監督はこの曲を友人の結婚式で歌われたそうで・・・」
岡田さん 「2年くらい前に(岩井監督に)譜面をあげるっていう約束をしてたんですが、それが渡せていないという負い目があったんです。それで石原さんがひとの予定も聞かず今日のチケット渡して来るようにと(場内大爆笑)。岩井さんがもうぜひ歌うとおっしゃったんで・・・。まぁ、そんなことがなくても、ボクは愛には愛で応えるタイプなんで、喜んで来ました(場内大拍手)。」

 このとき、岩井さんがエッという表情をしていたのがこれまたおかしかった。ちなみに岡田さんはレコーディングをちょっと抜け出して来られたのだとか。

岩井監督 「僕は岡田さんが楽譜くれるっていうんで来たんですけど(笑)。ちなみにその結婚した友達、もう離婚しちゃったんですけど・・・(場内大爆笑)。」

 曲はもちろん「ウェディング・ソング」。あの美しいピアノの前奏が鳴り響き、岩井監督が歌う。岩井監督が歌う姿っていうのもなかなか観られないよなぁ。甘いマスクとは裏腹に結構渋い歌声だったのはちょっと意外で、サビでは岡田さんも寄り添うように歌い、ハスキー・ヴォーカル・デュエットになったのは思わぬ展開。間奏とエンディングのふくみちゃんのヴァイオリンが泣ける、泣ける。

「石原君、次に呼ぶときはペダルを固定しておいてね」との言葉を残して岡田さんは開場を後にしたのだった。

 そして第一部最後の曲へ・・・「酔いどれダンス・ミュージック」!!

石原さん 「ロック・バンドは譜面見るなっていうのがあったんですけれど、最近はライダーズも見ているし、まぁ、いいかっていう(場内爆笑)。この間までは根性でおぼえていたんですけど、間違えるくらいなら見ろってことになって。でも字が小さすぎて見えない(場内爆笑)。」
黒瀬さん 「この間のライダーズのツアーでやられた曲をあえてブツけてみました。」

 『火の玉ボーイ』ヴァージョンでの「酔いどれダンス・ミュージック」。最近のヘヴィーなオルタナ・フィーリングも良いけれど、ニュー・オリンズ風味の軽やかなこのアレンジはやっぱり捨てがたい!! 山田さんのファルセット、片島さんのドラミング、間奏のふくみちゃんと黒瀬さんのユニゾン・フレーズ etc と実に観応えある演奏。あっという間に1時間あまりの時間が流れ、第一部は幕を閉じてしまった。束の間の休憩を置いての第二部に何が起きるのか・・・楽しいショウはまだまだ続く。

 休息中、モニターには架空のリハーサル風景が流れていたのをみんなは観ていたかな?前述したように席の関係もあって、今回はモニター映像とステージングの両方を楽しむことはできなかったんだけれど、架空の細かいところまでこだわるコンセプチュアルな姿勢は休息中と言えども一切気は抜いていないのだ。これを20年間続けてきたのかと考えると、やっぱり架空楽団って凄い。アートだなぁ、と僕は感銘を受けるのであった。



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