#MID2001
彼女の時
かしぶち哲郎
Tetsuro Kashibuchi
(1985)
Original Release 1985.07.07
Disc Number (LP) MIL-2001
Label Dear Heart
Manufacturer MIDI
- 眩暈
作詞・作曲・編曲:橿渕哲郎 - 柔らかいポーズ
作詞・作曲・編曲:橿渕哲郎 - DIALOGUE
作詞・作曲・編曲:橿渕哲郎 - 彩 夏 夢
作詞・作曲・編曲:橿渕哲郎 - 緑の果て
作詞・作曲・編曲:橿渕哲郎 - S・EX (SENSUOUS EXPERIENCE)
作詞・作曲・編曲:橿渕哲郎
Produced by Tetsuro Kashibuchi
DATA
Original Release
●1985.07.07 (LP) MIL-2001 Dear Heart/MIDI
●1985.08.08 (CD) MID-2001 Dear Heart/MIDI
Re-issue
●1991.08.21 (CD) MDC5-1078 MIDI
●2013.08.14 (CD) MDCL-5014 MIDI
前作のデュエット路線を徹底的にするというコンセプトのもと、矢野顕子、大貫妙子、石川セリをゲストに迎えた2ndソロ・アルバム。全6曲と曲数は少ないが、その濃密度はフル・アルバム同様のものと言ってもいい。
スネアを使わない斬新なリズム・アプローチが特色の「眩暈」は清水信之のアコーディオンをフューチャーした名曲。次作「Fin」にも受け継がれるヨーロピアンな官能的空気に満ちあふれている。なお、この曲の歌いかたについてはジョアン・ジ ルベルトを参考にされたそう。「柔らかなポーズ」の聴きどころには矢野顕子、大貫妙子、石川セリの3人のハーモニーがある。ただ、アーティストとしての世界を確立している3人が一緒に録るのは困難を極め、結果的にはバラバラに録音したと いうエピソードは有名。リズム的にはNYの軽い都会的エッセンスを狙ったという。「リラのホテル」に続き矢野顕子とのコラボレーションが実現した「DIAROGUE」は、ミュージカル的エッセンスを凝縮しており、途中からジャズになってしまうな ど(かしぶちさんのドラミング聴きもの!!)、単なるデュエットには終わっていない歌曲。石川セリに提供した「彩・夏・夢」のセルフ・カヴァーでは、良明さんのアヴァンギャルドな歪みのギターを全面に、アグレッシヴなアレンジがほどこさ れている。官能的な濃度がいちばん濃いとも言える「緑の果て」は大貫妙子とのデュエット。さらりとした大貫妙子のヴォーカルが、詩の際どさをオブラートに包んでおり、サウンドとのバランス感が絶妙。石川セリとのデュエットでトリを飾る「 SEx」はピアノとシンセだけのストイックで静かな作りで、「アマチュア・アカデミー」に収録されているライダーズ・ヴァージョンとはひと味違った仕上がり。ちなみにこの曲、シングルのカップリングとして、かしぶちさんだけのヴォーカル・ヴァージョンも存在するが未CD化。ぜひこれをプラスしての再発に期待したい。
このアルバムの何より特筆すべきところは、ヴォーカリスト・かしぶち哲郎としての魅力にいちばんあふれていること。ソロ・ライヴなどを通して精力的にヴォーカルをとっていたのが起因したとみられる。
当時のインタビューでは「今後ソロは1年1枚のペースで展開する」と言っていたかしぶちさんだが、(サントラ、プロデュース盤を除いた)ヴォーカル・アルバムとしての復権は、実にこの後7年の歳月を待たなければならなかった・・・。
Kazutaka Kitamura
COMMENT
2nd Solo Mini Album