discography
■ムーンライダーズ ディスコグラフィー
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#VDR1358

わかつきめぐみの宝船ワールド

moonriders

(1987)

Original Release 1987.04.21

Disc Number (CD) VDR-1358

Manufacturer Victor

 

  1. So What?
     作詞:滋田みかよ 作曲:岡田徹 編曲:阿部隆雄・岡田徹 歌:本間哲子
  2. 異性物接近
     作・編曲:福原まり
  3. ハハ・ハ・カナシ
     作詞:一色進 作曲:泉水敏郎 編曲:沖山優司 歌:若林マリコ
  4. だって気にいんないんだもん
     作詞:泉水敏郎 作曲:鈴木博文 編曲:DARIE・鈴木博文 歌:北田かおる
  5. ぱすてると~ん通信
     作曲・編曲:かしぶち哲郎
  6. 梅(プラム)ブラザーズのテーマ
     作曲・編曲:美尾洋乃
  7. あの日のPhotograph
     作詞:高橋修 作曲:松尾清憲 編曲:鈴木智文 歌:直枝政太郎
  8. WAKE UP!
     作曲:直枝政太郎 編曲:政風会
  9. 米犬ワルツ
     作詞:わかつきめぐみ 作曲・編曲:野見裕二 歌:森谷美月
  10. 宝船船上大宴会
     作詞:わかつきめぐみ 作曲:鈴木慶一 編曲:渡辺等 歌:陽気な若き宝船の乗客たち
  11. 宝船船上大宴会 [放送劇MIX]
     作詞:わかつきめぐみ 作曲:鈴木慶一 編曲:渡辺等 歌:陽気な若き宝船の乗客たち
  12. 米犬ワルツ [オーケストラ・ヴァージョン]
     作曲・編曲:野見裕二

Produced by 鈴木慶一
Co-produced by 鈴木博文

COMMENT

 

DATA

 

Original Release

●1987.04.21 (CD) VDR-1358 Victor

 

Re-issue

 

 このホームページにアクセスしている皆さんと、疑いもなく音楽の趣味が最も近い漫画家であろう、わかつきめぐみさんのマンガ(特定の作品でない)のイメージ・アルバム。

 ライナー・ノーツで、プロデューサーの鈴木”ロジャー・コーマン”慶一が言っているように、当時のムーンライダーズ周辺の、「人材のカタログ」。
 「青空百景」からムーンライダーズのファンになったという、わかつきさんが、「So What?」連載中にレコード会社から企画が持ち込まれた時に、「鈴木慶一さんにやってもらえたら天国ですねー」と、一ファンとして希望を話したところ実現してしまったというアルバム。

 歌詞の内容は、タイトルに関係する作品の世界に必ずしも即したものではありません。たとえば「ハハ・ハ・カナシ」は、そのタイトルを、「月は東に日は西に」の好奇心旺盛なハイパーかあさん梅子さんが、子どもたちに相手をしてもらえない時に可愛くすねるセリフから取っていますが、歌詞の中では、悩める少年少女を応援すべく届いたテレグラムの文面になっています。まあ、梅子さんは子どもたちと一緒に遊びつつ、暖かくその成長を見てはいるわけですけど。

 しかし、そうした違いが、マンガのイメージと曲との間にズレを作っているかというと、そんなことはなく、マンガのイメージべったりに作ってないポップス・アルバムであるにもかかわらず、不思議と、わかつき作品のイメージにもぴったりのアルバムになっています。 それは、もしかしたら、マンガの方の「So What?」の中に出てくる、秋津島教授の書いた、「遅く咲いても鳥や虫は来てくれる、だから自然にまかせて自分の咲く時に咲けばいい」、という八重桜の話とか、不遇な状況にありながらもプライドは失わない、表面的には軽ささえある松23号の姿勢を、ムーンライダーズを含めた、ここに参加しているミュージシャンにも重ねあわせる事が容易だからかもしれません。言うなれば、私たちファンは八重桜に集まる鳥なわけです。 また、このアルバムでの新しいミュージシャンの組み合わせが、それまでにない魅力的な曲を生みだしてもいます。

 「ハハ・ハ・カナシ」を歌う若林マリコは、マリコwithキュートというバンドのヴォーカルだった人で、レコーディングにも参加している岡田陽介も、このバンドのメンバーでした。編曲・ベースの沖山優司とは、ビブラトーンズ人脈なわけですが、曲は当時タイツの2人が書いています。バンドでも、このアルバムと同じ頃に出たソロ・アルバムでも、若林マリコのこんなに弾けて伸びやかな歌は聞けません。彼女の全録音中のベスト・トラックでしょう。

 「だって気にいんないんだもん」は、当時ドレミ合唱団の、コルネッツの北田かおるがヴォーカルですが、これもまた、両グループでは聞けない、ふわふわした彼女のキャラクターに合った歌が聞けます。この曲では、編曲・コーラスのDARIE(濱田理恵)も目立ちまくってます。

 マンガと曲とのイメージの違いについてふれましたが、「梅(プラム)ブラザーズのテーマ」は、実は、美尾洋乃&フルーツ・オブ・ザ・ムーンがライヴでやっていた曲の転用で、元々のタイトルは、「マストロヤンニ」でした。俳優のマルチェロ・マストロヤンニをイメージした曲だったのだと思うので、プラムの3人のテーマとしては、堂々と、また飄々としすぎているかも。丸木戸定男とDARIE以外は、メンバーがよく変わったこのバンドの、一時期のメンバーです。

 マンガのファン、ミュージシャンのファンのどちらにも興味深いのが、「宝船船上大宴会」でしょう。ここだけに参加の人も含めて、あふれんばかりのミュージシャンやマンガ関係者が、わかつき作品のキャラクターに扮して、勢揃いしています。マンガのファンにとっては、異なる作品に出てくるキャラクターたちのスーパーセッション。今聞いて面白いのはやはり鷺島さん=DARIEでしょう。今とは違って、とってもパワフル。キャラクターにピッタリ。もののけくん役の北田かおるもいい味。さいとうみわこ(「So What?」)、滋田みかよ、上野洋子(「月は東に日は西に」)、野宮真貴(「ぱすてるとーん通信」)たちが、諸作のメインキャラクターを演じています。梅子かーさん役の丸木戸定男は鈴木慶一、海堂さん役の大鳥居は鈴木博文です。

 花とゆめコミックスの「So What?」全6巻には、レコーディングの経緯や、レコーディング風景のマンガ、執筆中のBGM紹介(皆さんが持っているアルバムもたくさんあるはず)など、本編以外も楽しみがたくさんあります。
 現在手に入りやすい白泉社文庫全4巻も、鈴木慶一、伊藤ヨタロウなどが解説を書いていて、こちらも良し。現在のところ最新刊の、97年に出た「きんぎんすなご」にもBGMは紹介されていて、好みの中心はムーンライダーズよりもメトロファルスになっていますね。

text: 古澤清人 Kiyohito Furusawa